2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧
漫画家が漫画業界を描いた作品というのは多少なりとも読者の興味を引きます。業界実録ものとして現実の漫画界を描いているものでもないかぎり、登場人物や状況設定はもちろん作者の作りごとになりますが、それでも漫画家としての作者の実体験がどこかに反映…
何らかの業界を題材にした漫画がサブジャンルの一つとして定着しています。10代後半より上の年齢の読者層を持っている漫画雑誌には、"お仕事漫画"とも言うべき作品がいくつも載っています。 多かれ少なかれどんな仕事も内情が世間に伝わりにくい部分はありま…
90年代半ばから後半のCOMIC ZIPにはちょっと変わった漫画家が集まっていました。shあrp、撫荒武吉、CHOCO、田中浩人、肴耶珈暖、上連雀三平、影虎、満点星など、美少女漫画の範疇にはおさまらない、個性的な絵柄とマニア向けの内容の作品が毎月読めたもので…
創作の世界では「処女作にはその人のすべてが詰まっている」という言い方をされることがあります。この言葉は漫画だけではなく、映画、音楽、小説などの世界でよく使われているので、そう思っている人は多いのかもしれません。でも、本当でしょうか? 公にし…
原作者と漫画家の関係というのは読者の知ることのできない事柄の一つです。あるいは、漫画家と編集者の関わりというのも、漫画を読むだけでは推測することしかできません。話の大筋を考えているのは誰か、人物や背景設定を行っているのは誰か、漫画の黎明期…
イギリスの絵画鑑定人のドキュメンタリー番組で知ったのですが、美術品には同時代の記録として文書に残っていても、実物が失われてしまったものが数多くあるそうです。名を知られてない画家の描いた当時の肖像画はそうなりやすく、逆に文書の記録が失われて…
十年日記というものを見たことがあるでしょうか。一日の記入欄が短冊形に並び、一冊で十年分の記録を付けられる厚めの日記帳です。この短編には二冊の十年日記が登場します。――年末の帰省のバスの車中、高校生の頃から書き始めた日記を読み直しながら、過ぎ…
対象とする読者層が狭い漫画雑誌に多く見られるのですが、話のよく飲みこめない漫画作品というものが多々あります。たとえ単行本一冊分の話を読んでも、その作品世界の内実や登場人物の性格、あるいは今誰が何をしているのかといった基本的なことですら理解…
90年代後半にアリス系の世界に興味がわき、よくちょっと怪しい本屋に行って少女ポルノ雑誌を立ち読みしていました。その頃の少女ポルノ界のトレンドは前田愛・亜季姉妹や野村佑香で、安達祐実が大人になってしまったことへのあきらめの空気が紙面から漂って…
荒巻圭子ももう忘れ去られている漫画家の一人になりつつあります。アフタヌーン四季賞大賞受賞作『GENOMES(ジェノムズ)』を受賞からそのまま連載開始。単行本一巻を出版後、それと同じぐらいの量を描いて突如連載を中断し、いくつかの読み切りを描いて、それ…
続きです。私自身の評価は『木島日記』の方を上と見ているみたいです。漫画の内容を詳しく憶えてはいないんですが、まあそうだろうなあと思いつつ、ちょっと偉そうな物言いで書きすぎてますね。これは反省点。 作劇の大塚英志は横に置くとして、作画の森美夏…
これは大塚英志原作の二つの作品の(当時の)感想です。私は随分とこの二人の作品を期待して読んでいたんだなあ。今この作品に言及する人もいないでしょうから、思い出として再掲します。この感想はまだまだ続きます。 1997年12月 『北神伝綺』 『北神伝綺(上…
『REUNION OF THE BOTH SIDES -彼地、相見えし者共ありて、我往かん-』全7話 漫画のいくつかのサブジャンルの中に美少女漫画というものがあります。一般的にはエロ漫画ともいいますが、わかりやすくいうと漫画のポルノのことを指します。 この美少女漫画目と…
1997年7月 稲光伸二『天使待ち』、スピリッツ21、コミックガンマ 今更ながらビッグコミックスビリッツで短期集中連載されていた稲光伸二『天使待ち』。おお、久しぶりに見たこの稲光さん。増刊枠だったスピリッツ野望編の野望大賞(スピリッツの新人賞)の応…
いつのまにか消えてしまう漫画家がいます。各雑誌に断続的に読みきりを発表し、単行本も出版したのに、ある日突然消息がわからなくなってしまう。園山二美はそういう風に消えてしまった漫画家です。 単行本は『蠢動』と『続蠢動』の二冊。それと単行本に纏め…